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第ニ部 特別支援教育推進計画の具体的な展開

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最終更新日:平成30年(2018)2月28日

第1章 都立盲・ろう・養護学校における個に応じた教育内容の充実

1 障害の重度・重複化、多様化に対応する個に応じた教育の推進

(1) 個別の教育支援計画の充実【新規】

  • ア 個別指導計画、個別移行支援計画、就学支援計画等の開発・研究
  • イ 作成・活用のためのガイドライン及びQ&Aの策定

(2) 教育課程の開発・研究【新規】

  • ア 知的障害養護学校高等部職業学科(仮称)等における教育課程の開発・研究
  • イ ろう学校における中高一貫型教育の教育課程の開発・研究
  • ウ ろう学校分教室における幼稚部・小学部の教育課程の開発・研究
  • エ 病弱養護学校高等部普通科における教育課程の開発・研究
  • オ 通級による指導における教育課程の開発・研究
  • カ 知的障害養護学校における自閉症の児童・生徒の教育課程の開発・研究

(3) 障害の重い児童・生徒に対する小・中・高等部一貫した教育の実施

知的障害養護学校は、小・中・高等部設置校、小学部単独校、中・高等部設置校や高等部単独校など設置形態が異なります。しかし、障害が重い児童・生徒の場合、小学部から高等部までの12年間の一貫性のある教育を行うことが重要であるため、各学校の設置形態にかかわらず、一貫性のある教育を行うことができる環境の整備を進めます。

具体的には、障害が重度・重複する児童・生徒の自立活動を主とした教育課程の開発・研究を推進する中で、教育内容・方法の連続性の在り方等に関する実践的研究を積極的に進め、障害の重い児童・生徒に対する12年間の一貫性のある教育的支援を実現します。

(4) 副籍制度の導入【新規】

副籍とは、都立盲・ろう・養護学校に在籍する、原則として希望する児童・生徒全員が、居住する地域の小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、学校・学級だよりの交換や学校・地域行事等における交流、小・中学校の日常の学習活動への参加等を通じて、地域とのつながりの維持・継続を図るものです。

ア 副籍モデル事業の実施【新規】

副籍モデル事業は、平成16年度は八王子市、あきる野市で、平成17年度以降は北区、調布市を加えた4区市において、各区市の実情に応じた試行を行っていきます。

モデル事業実施に当たっては、学識経験者、医師、保護者団体等により構成される「特別支援教育体制・副籍モデル事業評価委員会」を設置し、様々な視点からの検証、評価を行います。

イ ガイドライン・指導事例集の策定【新規】

(5) 都立高校等への巡回相談等による支援の実施【新規】

(6) ろう学校の就学前教育相談・早期教育の充実【新規】

聴覚障害のある乳幼児に対しては、保有する聴覚の有効な活用やコミュニケーションに対する指導など早期からの対応が、その後の言語能力や理解力の伸長に大きな影響を与えることが明らかになっています。

現在、幼稚部を設置するろう学校で乳幼児教育相談を実施していますが、今後はこれまでの実績を踏まえ、大塚ろう学校を乳幼児期の相談・指導を行う拠点校とし、早期教育を担当する相談員及び医師、臨床心理士、言語聴覚士等の専門家を配置し、各ろう学校や区市町村教育委員会等の要請に応じて巡回相談を行います。また、ろう学校における就学前教育相談方法等の検討を行い充実を図っていきます。

(7) ろう学校における多様なコミュニケーション手段を活用した指導の推進

聴覚障害のある児童・生徒等一人一人の障害の状態に応じた多様なコミュニケーション手段を活用した指導の充実を図るため、初任者研修、十年経験者研修及び校内研修等をさらに充実し、実施していきます。

(8) 盲学校の早期教育相談の充実

(9) 肢体不自由養護学校での自立活動における外部専門家の導入【新規】

(10) 肢体不自由養護学校における医療的ケア整備事業の充実【新規】

(11) 学校外活動の充実【新規】

(12) 障害のある児童・生徒の社会参加・自立を目指した指導の推進

(13) 外国人英語教育補助員の配置

(14) ITを活用した指導内容・方法の充実

(15) 児童・生徒の健康のための取組

(16) 都立学校における健康づくり推進計画(健康ノート(仮称)の作成)【新規】

(17) 在宅・病院・施設への訪問教育等の充実

2 社会参加と自立に向けた多様な進路希望にこたえる後期中等教育の充実

(1) 職業的自立に向けた職業教育の充実

ア 知的障害が軽い生徒を対象とした高等部の職業教育の充実【新規】

都内の2校に設置されている職業学科(青鳥養護学校都市園芸科、南大沢学園養護学校産業技術科)の実績を生かし、新たに知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部を設置し、職業的自立をめざした職業教育を充実するために、職業学科(仮称)を設置します。

新たに設置する職業学科(仮称)では教育内容・方法の充実に向けて、民間の専門技術者を講師として導入することや、インターンシップの活用・充実など民間企業との連携により、生徒全員の一般企業への就労をめざします。また、職業学科(仮称)の教育内容・方法の充実に向けて教育課程の開発・研究を行います。なお、第一次実施計画では、区部西部及び多摩地域に知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置を計画しています。今後、生徒数の動向や地域バランス等を考慮しながら第二次実施計画以降の学校配置の拡大について検討していきますが、それまでの間、区部東部の既存の知的障害養護学校高等部において、職業教育の一層の充実を図ることができるよう暫定的に職業コースを設置します。

イ ろう学校における中高一貫型教育の実施【新規】
ウ ろう学校における職業教育の充実【新規】

ろう学校に在籍する生徒の職業的自立を支援するため、職業教育に重点を置いた葛飾ろう学校及び立川ろう学校の高等部普通科及び専攻科において、民間企業の技術者を講師として導入し、職業技術の習得を図るとともに、民間企業との連携を強化することで新たな職種・職域の開拓等を進め、今後のろう学校における職業教育の充実に努めていきます

エ 盲学校における職業教育の充実
オ 都立盲・ろう・養護学校と民間活力とが連携した就労支援事業【新規】

企業やNPO法人等と連携することにより、都立盲・ろう・養護学校の生徒の職業的自立をより積極的に支援していきます。

今後は、新たな職種・職域の拡大に向けた企業への雇用促進要請や理解啓発等に関する取組を始めます。また、学校においては、専門家を活用して職業教育の充実を図っていきます。さらに18歳以上の知的障害者等の雇用促進及び職業安定を目的としてすでに実施されているジョブコーチ(職場適応援助者)制度の実績と成果等を踏まえ、都立盲・ろう・養護学校在学中における就労支援及び卒業後の支援への移行に向けた関係諸機関との連携体制の構築などの業務を担う、学校版ジョブコーチ制度の導入などについても積極的に検討していきます。イ 知的障害養護学校普通科における職業教育の充実

(2) 進学等多様な進路希望への対応

ア 知的障害が軽い生徒を対象とした高等部での資格取得を目的とした進学への対応【新規】
イ ろう学校における中高一貫型教育の実施【新規】

中学部・高等部の6年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等をめざす中高一貫型教育を行うろう学校を設置します。大学進学や資格取得等のニーズにこたえるため、学力の向上を図り、個に応じた教育を行います。また、中高一貫型教育の教育課程の開発・研究を行います。

中学部においては、授業時数を十分に確保するとともに、選択教科の履修数の拡大や教科の補充的な指導を行うことにより、基礎学力の定着を図ります。高等部においては、柔軟な選択教科・科目の履修や都立高校との単位互換などにより、基礎学力やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を確実に身につけさせる教育を行います。

また、中学部・高等部を通じて、情報収集・発信能力を育成するIT教育を推進します。

(3) 肢体不自由養護学校における後期中等教育の充実
(4) 病弱養護学校における後期中等教育の実施【新規】

医療・生活管理体制の整った学校で、後期中等教育段階にある生徒にふさわしい教育を行うことができるよう、東久留米地区総合学科高校(仮称)及び久留米西高校との連携による教科・科目の履修並びに参加が可能な部活動での交流等を含め、病弱養護学校高等部の教育課程について開発・研究を行います。

3 新たな連携体制の構築

(1) 教育機関と保健・医療、福祉、労働等、他の分野との積極的な連携(エリア・ネットワーク)【新規】

エリア・ネットワークとは、LD等を含め障害のある児童・生徒等やその保護者に対して総合的な支援を行うための地域性と専門性を備えたシステムです。

各区市町村を基礎的な単位として教育、保健・医療、福祉、労働等の関係機関や専門家がネットワークを構築する「特別支援プロジェクト」と、都立盲・ろう・養護学校等と地域の幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等が日常的な連携体制を構築し、LD等を含め障害のある児童・生徒等の教育内容・方法等の充実を図る「パートナーシップ」を主な機能とします。

ア 特別支援プロジェクトの推進【新規】

LD等を含め障害のある児童・生徒等の乳幼児期から学校卒業後への円滑な移行を図るため、各区市町村を基礎的な単位として教育、保健・医療、福祉・労働等の連携に基づく相談支援体制を整備するためのモデル事業を実施します。「特別支援プロジェクト」において都立盲・ろう・養護学校等は、特別支援教育のセンター的機能を発揮し、区市町村が行う就学・転学相談や就学支援体制の整備、就労支援等を行います。モデル事業終了後は、その成果を区市町村へ周知し、円滑な導入が図られるよう指導・支援していきます。なお、第一次実施計画においては、特に乳幼児期から学齢期への円滑な移行を支援するための体制整備に向け、「特別支援プロジェクト(就学支援)」を実施します

イ 盲・ろう・養護学校のセンター校の指定(エリア・ネットワークの拠点校)【新規】

今後、都内全域(島しょ地区を含む。)を複数のエリアに分割し、それぞれのエリアにおいて、都・区立知的障害養護学校(小学部・中学部設置校)を「センター校」として指定し、都と区市町村の役割分担を踏まえた新たな連携体制を構築していきます。

センター校は、各エリア内の区市町村教育委員会と緊密な連携を図り、小・中学校、幼稚園、保育所、都立高校、保護者、都民等が抱えるニーズを把握するとともに、それら地域のニーズに適切に対応できる支援策について調整・実施します。

また、センター校は、都立盲・ろう・養護学校等間の連携を強化するため、周辺の盲学校、ろう学校、養護学校(肢体不自由、病弱等)と「盲・ろう・養護学校連絡会議(仮称)」を行い、地域の特別支援教育推進のための中核的機関としての役割を果たします。

ウ パートナーシップの充実【新規】
エ 特別支援教育コーディネーターの指名・育成【新規】
オ 盲・ろう・養護学校のセンター的機能の充実

「特別支援プロジェクト」や「パートナーシップ」の充実を図るため、すべての都立盲・ろう・養護学校がその専門性や施設・設備を生かし、地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮し、指導・研修、教育相談、情報提供・理解啓発等を実施していきます。

具体的には、地域の幼稚園や保育所、小・中学校等からの要請に応じた巡回相談の実施や、教育内容・方法の充実に関する研修会や合同研究の実施、保護者等からの教育相談への対応、地域住民や都民への特別支援教育に関する理解啓発や情報提供などを行います

カ 広域特別支援連携協議会(仮称)の設置【新規】

各区市町村における「特別支援プロジェクト」の推進・充実を支援するため、都において教育庁、福祉保健局、産業労働局、厚生労働省東京労働局、関係団体(区市町村、経済界、医師会、福祉団体、保護者代表等)の連携によるネットワークを構築します。

(2) 都における特別支援教育センター的機能の充実

(3) 適切な就学の推進

  • ア 研修会の実施
  • イ 就学相談に関する調査研究

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第2章 都立盲・ろう・養護学校等の適正な規模と配置

1 個に応じた新たなタイプの学校づくり

(1) 知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置

主に中学校の通常の学級や心身障害学級から進学してくる、知的障害が軽い生徒を対象として、専門学校等への進学も含め、将来の職業的自立に向けた専門的な教育を行うことを目的とした高等部を設置します。新しいタイプの高等部には、企業就労をめざす職業学科(仮称)と資格取得等を目的とした進学をめざす普通科(仮称)を設置します。

なお、障害が軽い生徒を対象とした高等部は通学区域は設けず、都内全域から生徒を募集(定員制)します。また、既存の青鳥養護学校都市園芸科と南大沢養護学校産業技術科の2つの職業学科は、新しく開校する学校に発展的に統合します。第二次実施計画以降については、今後、生徒の動向や地域バランス等を踏まえ、新たな設置計画を検討していきます。

内容 設置場所 年度別計画
開校予定年度 16年度 17年度 18年度 19年度
永福学園養護学校(仮称) 都立永福高校跡地 基本計画検討委員会(知) 基本設計(知)
実施設計(知)
工事(知) 開校(知)
平成19年度(知)
平成21年度(肢)
基本設計(肢) 実施設計(肢) 工事(肢)
青梅東学園養護学校(仮称) 都立青梅東高校跡地 基本計画検討委員会(知) 基本設計(知・肢) 実施設計
(知・肢)
工事(知・肢)
平成21年度(知・肢)
南多摩地区学園養護学校(仮称)※ 南大沢学園養護学校   基本計画検討委員会(知) 基本設計(知) 実施設計(知)
平成22年度(知)

※南大沢学園養護学校を知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部単独校とするに当たっては、多摩養護学校を知・肢併置型養護学校とし、知的障害教育部門の高等部に、職業類型(福祉コース等)を設定する。

(2) 知的障害教育部門・肢体不自由教育部門を併置する学校の設置

障害が重複する児童・生徒に対する教育内容・方法の充実を図るため、自立活動の指導など、それぞれの教育部門の専門性を相互に活用することを目的として、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する学校を設置します。なお、両教育部門は、それぞれの障害種別における教育の専門性を十分に確保するとともに、児童・生徒の安全面にも十分に配慮した設置・運営形態とします。

また、これにより、現在の肢体不自由養護学校の通学区域を縮小し、スクールバスの乗車時間の縮減を図ります。

内容 設置場所 年度別計画
設置予定年度 16年度 17年度 18年度 19年度
永福学園養護学校(仮称) 都立永福高校跡地 基本計画検討委員会(知) 基本設計(知)
実施設計(知)
工事(知) 開校(知)
平成19年度(知)
平成21年度(肢)
基本設計(肢) 実施設計(肢) 工事(肢)
青梅東学園養護学校(仮称) 都立青梅東高校跡地 基本計画検討委員会(知) 基本設計(知・肢) 実施設計
(知・肢)
工事(知・肢)
平成21年度(知・肢)
多摩養護学校※ 多摩養護学校     基本設計(知) 実施設計(知)
平成19年度(知)

※南大沢学園養護学校の普通教室不足を早期に解消するため、平成19年度から、多摩養護学校において、知的障害教育部門を設置する。

(3) 中高一貫型ろう学校の設置【新規】

中学部・高等部の6年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等をめざす中高一貫型教育を行う中央ろう学校(仮称)を設置します。中央ろう学校は、生徒や保護者の早期開校への要望にこたえるため、新校舎(現杉並ろう学校敷地内)が竣工(平成21年度)するまでの間、中学部は大塚ろう学校内に、高等部は石神井ろう学校内に暫定的に設置(平成18年度開校)します。

(4) 病弱養護学校高等部の設置【新規】

都立高校等へ進学した後、病気のために長期欠席や中途退学を余儀なくされる生徒たちが、医療・生活管理体制の整った学校で、後期中等教育段階にある生徒にふさわしい教育を受けることができるよう、平成18年度に病弱養護学校高等部を久留米養護学校(全寮制)に設置します。

2 都立盲・ろう・養護学校の適正な規模と配置

(1) 都立盲・ろう・養護学校の適正な規模と配置の基本的な考え方

ア 都立盲・ろう・養護学校全体での対応

各障害種別の学校数や在籍者数の増減、地域バランス等に配慮しながら、都立盲・ろう・養護学校全体で規模と配置の適正化を図ります。

また、都立盲・ろう・養護学校で学ぶ児童・生徒の障害の程度等に応じた対応ができるよう、新たなタイプの学校づくりを進めながら、規模と配置の適正化を図ります。

イ スクールバスの通学時間の短縮

特に、肢体不自由養護学校については、現在、平均72分を要しているスクールバス利用の乗車時間を平成27年度までに平均60分程度とすることを目標に、規模と配置の適正化を図ります。

ウ 都立高校跡地等既存施設の有効活用

都立高校改革の結果閉校となる学校の跡地等を有効に活用しながら、適正な規模と配置を図ります。

(2) 都立盲・ろう・養護学校の配置計画の概要

第一次実施計画における都立盲・ろう・養護学校の配置については、高校跡地等を活用した新しいタイプの知的障害養護学校の設置やろう学校の再編整備により閉校となるろう学校の施設を活用した知的障害養護学校の設置等を行っていきます。

本計画完成時(平成27年度)の学校数は、児童・生徒数の動向や国の法改正等によって変動する場合がありますが、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門の併置化等により、現行(平成16年度)規模程度としていきます。

《第一次実施計画》
障害種別 平成16年度 平成19年度末 第一次実施計画完成時
盲・ろう・養護学校 55校1分校 53校1分校 56校1分校
  盲学校 4校 4校 4校
ろう学校 8校 4校 4校
養護学校 43校1分校 45校1分校 48校1分校

 
知的障害養護学校 28校1分校 30校1分校 31校1分校
肢体不自由養護学校 12校 11校 11校
知・肢併置校 2校 3校 5校
病弱養護学校 1校 1校 1校

(3) 盲学校の適正な規模と配置

(4) ろう学校の適正な規模と配置

ろう学校の配置についての表
  • 葛飾ろう学校、立川ろう学校(幼・小・中・高・専)は、職業教育に重点を置く学校とします。
  • 大塚ろう学校(幼・小)は、早期教育に重点を置く学校とします。なお、中学部は、平成18年度に中央ろう学校に再編します。
  • 品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校の中学部は、平成18年度に中央ろう学校に再編します。また、品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校の幼稚部及び小学部は当面の間、大塚ろう学校の分教室として設置し、地域の乳幼児の相談・指導や幼児・児童のろう教育を行う場として、それぞれの現校舎内等に今までと同様、教育の場を確保していきます。
    なお、分教室として設置している間は、幼児・児童の新入生等の受入れを継続していきますが、集団による教育活動の確保は重要であることから、新入生が2年間続けて3名に満たないような場合には、それ以降は募集を停止していく予定です。
    また、分教室を統合した後も、聴覚障害のある乳幼児が専門的な指導を継続して受けることができるよう、近隣の養護学校等に教室を確保し、医師、臨床心理士、言語聴覚士等の専門家が巡回する教育相談を実施していきます。
  • 大田ろう学校、石神井ろう学校は、専攻科を平成16年度に、普通科を平成17年度にそれぞれ募集停止します。
  • ろう学校の就学前教育相談・早期教育の充実【新規】

(5) 知的障害養護学校の適正な規模と配置

知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部3校の設置と多摩養護学校(現在肢体不自由単独 校)に知的障害教育部門を加えて併置校にするほか、次のとおり、新たに知的障害養護学校を設置します。

内容 設置場所 別計画
開校等予定年度 16年度 17年度 18年度 19年度
大田地区養護学校(仮称) 大田ろう学校   工事
実施設計
(改修)
開校
工事
 
平成18年度 
品川地区養護学校(仮称) 品川ろう学校       基本設計 
平成23年度
江東地区第二養護学校(仮称) 江東ろう学校       基本設計
平成24年度

 

  • 分校の本校化への対応【新規】
    青鳥養護学校久我山分校については、今後の児童・生徒数の動向や国の法改正の動向を考慮し、「本校化に関する検討委員会(仮称)」を平成17年度に設置し、本校化について検討していきます。

(6)肢体不自由養護学校の適正な規模と配置

  • 永福学園養護学校(仮称)に肢体不自由教育部門(小・中・高)を設置し、主に光明養護学校の通学区域の縮小を図ります。
  • 青梅東学園養護学校(仮称)に肢体不自由教育部門(小・中・高)を設置し、主にあきる野学園養護学校の通学区域の縮小を図ります。

(7)病弱養護学校の規模と配置の適正化

(8)学校規模及び運営に関する検討【新規】

3 寄宿舎の適正な規模と配置

(1) 寄宿舎の適正な規模と配置の基本的な考え方

都立盲・ろう・養護学校の適正な規模と配置の実施等により通学区域が縮小され、「通学困難」を理由とする寄宿舎への入舎対象者がますます減少していくと推測されるため、寄宿舎の配置数を段階的に減らしていきます。平成16年度現在11舎ある寄宿舎を、本計画完成時の平成27年度までには、5舎にしていく予定です。

視覚障害のある児童・生徒等の受入れをする寄宿舎については、障害の特性に配慮し、通学の安全確保のために地域性を考慮した配置とします。

島しょ地区に在住する児童・生徒等の受入れのため、各障害種部門の寄宿舎を配置し、対応できるよう配慮します。

寄宿舎の施設・設備の安全性及び機能性等を十分に確保した上で、複数の障害種部門を併置する設置形態を導入していきます。

寄宿舎は、現在のように寄宿舎を設置している学校の児童・生徒等のみが利用できるものから、寄宿舎が設置されていない学校の児童・生徒も、寄宿舎へ入舎する必要が生じた場合に、同一の障害種部門の寄宿舎であれば、原則として寄宿舎設置校へ転学の上で入舎できるようになります。また、その際の転学手続はできる限り速やかに進めます。

(2) 入舎基準の見直し

寄宿舎の利用については、原則として、「通学困難」による入舎に限定していきます。

「通学困難」は、次の場合を指します。

  • ア 島しょ地区に在籍する児童・生徒等
  • イ 常に90分以上の通学時間を要する児童・生徒等
  • ウ 上記ア及びイのほか、寄宿舎の入舎により通学における安全性を確保する必要がある場合

当面は、家族に複数の障害児(者)がいたり、保護者が長期の病気や家族の介護等の理由により通学の付き添いが困難であり、かつ長期で継続的な場合等の理由に限定し入舎を認めていきます。

なお、新たな入舎基準は、すべての寄宿舎に平成19年4月1日から適用します。

(3) 適正な配置の効果

閉舎後は、普通教室等に転用するなど障害のある児童・生徒等のために有効に活用していきます。

(4) 適正な配置に当たって配慮すべき点

  • ア 児童・生徒等に対する通学時間の負担軽減
  • イ 障害のある児童・生徒の社会参加・自立を目指した指導の推進
    学校内に生活訓練施設が未整備の学校については、生活訓練施設を整備し、生活指導や宿泊行事等の内容の充実を図り、児童・生徒一人一人の社会参加・自立に向けた、計画的・継続的な指導を行っていきます。また、今後は、寄宿舎を長期休業中等に弾力的に活用できるようにし、生活訓練の充実を図っていきます。

(5) 第一次実施計画

第一次実施計画の表

※現在、八王子盲学校及び八王子養護学校の両寄宿舎は、合築された建物の中でそれぞれが管理・運営を行っています。今後、平成19年度末に八王子養護学校の寄宿舎を閉舎し、八王子盲学校が、盲・知ともに一括運営していくことになりますが知的障害部門も視覚障害部門も受入れていく機能に変更はありません。

4 校外教育施設の見直し

(1) 校外教育施設の閉所

土肥臨海学園及び聖山高原学園をそれぞれ平成16年度末、18年度末に閉所します。

(2) 学校外活動の充実【新規】

今後は、児童・生徒及び保護者の多様なニーズに対応するため、宿泊施設の情報に関するデータベースの作成や医師や臨時介助員等の付き添い範囲の拡大を図り、都立盲・ろう・養護学校における移動教室等の宿泊行事の充実を支援し、より安全に宿泊を伴う学校外活動が実施できるよう対応を進めます。

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第3章 都立盲・ろう・養護学校の教育諸条件の整備

1 教員の資質及び専門性の向上

  • (1) 特別支援教育の理解啓発に関する研修の実施
  • (2) 特別支援教育コーディネーターの指名・育成に関する研修(都立)【新規】
    特別支援教育への移行に当たり、平成17年度に、すべての都立盲・ろう・養護学校で、各校少なくとも1名の特別支援教育コーディネーターを指名し、系統的・計画的な研修を実施し、育成していきます。
  • (3) 教育相談担当教員の育成に関する研修
  • (4) 教員採用の改善
  • (5) 特殊教育教諭免許状取得の促進
  • (6) 教員の人事交流等の充実
  • (7) 大学・外部専門家との連携による研修・研究の充実
  • (8) 肢体不自由養護学校における自立活動における外部専門家の導入【新規】

2 開かれた学校づくりの推進

  • (1) 民間活力の導入
  • ア 多様な主体による学校運営の検討【新規】平成16年3月に中央教育審議会で答申された「今後の学校運営の在り方について」(答申)に示された地域運営学校や、チャータースクールの導入に向けた社会の動向を踏まえ、都としても、多様な主体による都立盲・ろう・養護学校の運営について、学識経験者を始め、民間企業、社会福祉法人、NPO法人等による検討委員会を設置し、積極的な検討を行っていきます。
  • イ 都立盲・ろう・養護学校と民間活力とが連携した就労支援【新規】
  • (2) 学校運営連絡協議会及び外部評価の充実
  • (3) ろう学校の就学前教育相談・早期教育の充実【新規】
  • (4) 盲学校の早期教育相談の充実
  • (5) 通年の授業公開の実施
  • (6) 心身障害児理解教育の充実

3 教育効果を高める学級編制の実施

  • (1) 障害の多様化に応じた学級編制の実施【新規】
    平成16年度から東京都立盲・ろう・養護学校学級編制等検討委員会(第二次)を設置し、児童・生徒の障害の程度や教育ニーズに応じてより一層教育効果を高めることのできる学級編制等の在り方について検討していきます。
  • ア 知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部等
  • イ 重度・重複学級の充実

4 学校施設・設備の充実

(1) 知的障害養護学校における普通教室の確保【新規】 (第一次配置計画)

対象学校名 供用開始予定年度 対象学校名 供用開始予定年度
中野養護学校 平成18年度 葛飾養護学校 平成20年度
調布養護学校 平成19年度 南大沢学園養護学校 平成19年度
八王子養護学校 平成19年度 板橋養護学校 平成20年度
墨田養護学校 平成20年度 高島養護学校 平成20年度
町田養護学校 平成20年度 清瀬養護学校 平成20年度
羽村養護学校 平成19年度 青鳥養護学校久我山分校 平成22年度

(2) 児童・生徒に対する通学時間の負担軽減【新規】

(3) ITを活用した教育環境の整備

5 都民に信頼される学校経営の確立

  • (1) 盲・ろう・養護学校経営計画
  • (2) 都立学校経営支援センター(仮称)の整備【新規】
  • (3) 経営体としての自律性の確立(自律経営推進予算)
  • (4) 学校経営戦略支援チームの活用
  • (5) 学校運営連絡協議会及び外部評価の充実
  • (6) 盲・ろう・養護学校改革推進校(仮称)の指定・支援【新規】
    特別支援教育の推進に当たり、エリア・ネットワークのセンター校となる知的障害養護学校(小学部・中学部設置校)の中から改革推進校を指定します。改革推進校は、エリア・ネットワークの実効性を高めるために、以下の点について2年間の実践的な研究を行い、都立盲・ろう・養護学校の地域における特別支援教育のセンター的機能の在り方について検証し、その成果を、他の都立盲・ろう・養護学校に普及・啓発していきます。
  • (7) 学校規模及び運営に関する検討【新規】
    知的障害教育部門と肢体不自由教育部門の併置等による、学校の大規模化に対応していくため、教育水準の維持・向上やより円滑な学校経営が行えるよう検討を進めていきます。

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第4章 小・中学校における特別支援教育の充実への支援

1 LD等を含め障害のある児童・生徒の特別な教育ニーズへの対応の充実

  • (1) 小・中学校における特別支援教育体制の整備
  • ア 特別支援教育体制モデル事業の実施【新規】
    本モデル事業は、北区、八王子市、調布市、あきる野市の1区・3市をモデル地域とし、以下に示す内容についての実践的な研究を行い、今後、各区市町村が特別支援教育を推進していくに当たっての課題等について検証・整理します。
  • イ 副籍モデル事業の実施【新規】
    (ア)副籍モデル事業の実施
    (イ)ガイドライン・指導事例集の策定
  • (2) 個別の教育支援計画の充実【新規】
  • (3) 小・中学校における教員の資質・専門性の向上
  • ア 特別支援教育の理解・啓発に関する研修の実施
    特別支援教育への移行及び推進に当たっては、小・中学校の管理職や学級担任等への理解啓発が不可欠です。そのため、初任者研修や10年経験者研修、主幹研修や管理職研修など、教員のライフステージや職層に応じた研修の機会を活用するなどして、特別支援教育の制度やLD、ADHD、高機能自閉症等の理解と指導に関する研修等を推進していきます。
    また、現在、区市教育委員会において心身障害教育を担当する指導主事を対象として、「心身障害教育担当指導主事連絡協議会」を実施していますが、今後は、こうした機会をこれまで以上に充実するなどして、特別支援教育に関する専門的な研修を行い、小・中学校における特別支援教育推進の中核となる人材を育成していくことが望まれます。
  • イ 特別支援教育コーディネーター養成に関する研修(区市町村)【新規】
    LD等を含め障害のある児童・生徒や保護者のニーズに適切に対応するため、平成19年度までに、すべての小・中学校において校内委員会を設置するとともに、特別支援教育コーディネーターを指名します。特別支援教育コーディネーターは、校内の関係者及び校外の関係機関・専門家等と連携を図り、LD等を含め障害のある児童・生徒やその保護者のニーズに応じた具体的な支援策の調整・実施に努めます。
    都教育委員会は、小・中学校の特別支援教育コーディネーターの養成に当たり、区市町村において中核的な役割を果たすことのできる人材を育成します。各区市町村においては、都における研修を修了した人材を有効に活用するなどして、地域の実情に応じた育成研修を実施していくことが望まれます。
  • ウ LD、ADHD、高機能自閉症等の理解と指導に関する専門研修及び研究
    LD、ADHD、高機能自閉症等の基本的な理解と指導の在り方、関係機関との連携による相談支援の在り方等についての研修・研究をより一層深め、小・中学校における教員の専門性の向上と特別支援教育推進体制の整備を図ります。
    研修の実施に当たっては、既存の研修事業のより一層の充実を図るとともに、大学や民間の研究機関等との連携による研修実施体制等についても検討していきます。
  • エ 教育相談に関する研修の充実
  • オ 特殊教育教諭免許状取得の促進
  • カ 教員の人事交流等の充実
  • キ 大学・外部専門家との連携による研修・研究の充実

2 都と区市町村の連携体制の整備

  • (1) 教育機関と保健・医療、福祉、労働等、他の分野との積極的な連携
  • ア 特別支援プロジェクト(就学支援)の推進【新規】
  • イ 盲・ろう・養護学校のセンター的機能の充実
  • ウ パートナーシップの充実【新規】
  • エ 特別支援教育コーディネーターの指名・養成【新規】
  • オ 広域特別支援連携協議会(仮称)の設置【新規】 
  • (2) 小・中学校から都立盲・ろう・養護学校等への通級指導の実施【新規】
    小・中学校の通常の学級や心身障害学級に在籍する障害のある児童・生徒の中には、障害の程度は軽度であっても、特定の教科や自立活動等において専門的な指導を必要とする児童・生徒がいます。
    こうした児童・生徒のために、都立盲・ろう・養護学校等の教員の専門性や施設・設備等を有効に活用した「通級による指導」を実施します。そのため、今後、都立盲・ろう・養護学校等における通級による指導の教育課程の開発・研究を行っていきます。
  • (3) 適切な就学の推進
  • ア 研修会の実施
  • イ 就学相談に関する調査研究等
  • ウ 巡回相談の実施等による支援

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第5章 一人一人を大切にする教育を推進するための都民の理解啓発の充実

1 理解啓発促進のための取組の充実

今後、社会全体が、LD等を含め障害のある児童・生徒等のライフステージに応じた適切な支援をしていくことができるよう、都及び各区市町村、関係機関・団体、保護者等が密接な連携を図り、小・中学校の通常の学級の担任や保護者、児童・生徒を始めとして、広く都民への理解啓発活動を進める必要があります。

  • (1) 特別支援教育に関する説明会等の実施
  • (2) 特別支援教育についての理解・啓発の促進
  • ア 特別支援教育に関する講座の実施
  • イ 心身障害児理解教育の充実
  • ウ 都立盲・ろう・養護学校総合文化祭
  • エ 通年の授業公開の実施
  • オ 理解啓発資料等の作成・配布
  • カ 東京都教育の日を生かした理解啓発
  • キ 障害者週間を生かした理解啓発
  • (3) 広域特別支援連携協議会(仮称)を活用した理解啓発
  • (4) 障害のある児童・生徒の教育相談の充実
  • (5) 学校の教育機能の地域社会への提供

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