最終更新日:平成30年(2018)2月28日
知的障害養護学校は、小・中・高等部設置校、小学部単独校、中・高等部設置校や高等部単独校など設置形態が異なります。しかし、障害が重い児童・生徒の場合、小学部から高等部までの12年間の一貫性のある教育を行うことが重要であるため、各学校の設置形態にかかわらず、一貫性のある教育を行うことができる環境の整備を進めます。
具体的には、障害が重度・重複する児童・生徒の自立活動を主とした教育課程の開発・研究を推進する中で、教育内容・方法の連続性の在り方等に関する実践的研究を積極的に進め、障害の重い児童・生徒に対する12年間の一貫性のある教育的支援を実現します。
副籍とは、都立盲・ろう・養護学校に在籍する、原則として希望する児童・生徒全員が、居住する地域の小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、学校・学級だよりの交換や学校・地域行事等における交流、小・中学校の日常の学習活動への参加等を通じて、地域とのつながりの維持・継続を図るものです。
副籍モデル事業は、平成16年度は八王子市、あきる野市で、平成17年度以降は北区、調布市を加えた4区市において、各区市の実情に応じた試行を行っていきます。
モデル事業実施に当たっては、学識経験者、医師、保護者団体等により構成される「特別支援教育体制・副籍モデル事業評価委員会」を設置し、様々な視点からの検証、評価を行います。
聴覚障害のある乳幼児に対しては、保有する聴覚の有効な活用やコミュニケーションに対する指導など早期からの対応が、その後の言語能力や理解力の伸長に大きな影響を与えることが明らかになっています。
現在、幼稚部を設置するろう学校で乳幼児教育相談を実施していますが、今後はこれまでの実績を踏まえ、大塚ろう学校を乳幼児期の相談・指導を行う拠点校とし、早期教育を担当する相談員及び医師、臨床心理士、言語聴覚士等の専門家を配置し、各ろう学校や区市町村教育委員会等の要請に応じて巡回相談を行います。また、ろう学校における就学前教育相談方法等の検討を行い充実を図っていきます。
聴覚障害のある児童・生徒等一人一人の障害の状態に応じた多様なコミュニケーション手段を活用した指導の充実を図るため、初任者研修、十年経験者研修及び校内研修等をさらに充実し、実施していきます。
都内の2校に設置されている職業学科(青鳥養護学校都市園芸科、南大沢学園養護学校産業技術科)の実績を生かし、新たに知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部を設置し、職業的自立をめざした職業教育を充実するために、職業学科(仮称)を設置します。
新たに設置する職業学科(仮称)では教育内容・方法の充実に向けて、民間の専門技術者を講師として導入することや、インターンシップの活用・充実など民間企業との連携により、生徒全員の一般企業への就労をめざします。また、職業学科(仮称)の教育内容・方法の充実に向けて教育課程の開発・研究を行います。なお、第一次実施計画では、区部西部及び多摩地域に知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部の設置を計画しています。今後、生徒数の動向や地域バランス等を考慮しながら第二次実施計画以降の学校配置の拡大について検討していきますが、それまでの間、区部東部の既存の知的障害養護学校高等部において、職業教育の一層の充実を図ることができるよう暫定的に職業コースを設置します。
ろう学校に在籍する生徒の職業的自立を支援するため、職業教育に重点を置いた葛飾ろう学校及び立川ろう学校の高等部普通科及び専攻科において、民間企業の技術者を講師として導入し、職業技術の習得を図るとともに、民間企業との連携を強化することで新たな職種・職域の開拓等を進め、今後のろう学校における職業教育の充実に努めていきます
企業やNPO法人等と連携することにより、都立盲・ろう・養護学校の生徒の職業的自立をより積極的に支援していきます。
今後は、新たな職種・職域の拡大に向けた企業への雇用促進要請や理解啓発等に関する取組を始めます。また、学校においては、専門家を活用して職業教育の充実を図っていきます。さらに18歳以上の知的障害者等の雇用促進及び職業安定を目的としてすでに実施されているジョブコーチ(職場適応援助者)制度の実績と成果等を踏まえ、都立盲・ろう・養護学校在学中における就労支援及び卒業後の支援への移行に向けた関係諸機関との連携体制の構築などの業務を担う、学校版ジョブコーチ制度の導入などについても積極的に検討していきます。イ 知的障害養護学校普通科における職業教育の充実
中学部・高等部の6年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等をめざす中高一貫型教育を行うろう学校を設置します。大学進学や資格取得等のニーズにこたえるため、学力の向上を図り、個に応じた教育を行います。また、中高一貫型教育の教育課程の開発・研究を行います。
中学部においては、授業時数を十分に確保するとともに、選択教科の履修数の拡大や教科の補充的な指導を行うことにより、基礎学力の定着を図ります。高等部においては、柔軟な選択教科・科目の履修や都立高校との単位互換などにより、基礎学力やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を確実に身につけさせる教育を行います。
また、中学部・高等部を通じて、情報収集・発信能力を育成するIT教育を推進します。
医療・生活管理体制の整った学校で、後期中等教育段階にある生徒にふさわしい教育を行うことができるよう、東久留米地区総合学科高校(仮称)及び久留米西高校との連携による教科・科目の履修並びに参加が可能な部活動での交流等を含め、病弱養護学校高等部の教育課程について開発・研究を行います。
エリア・ネットワークとは、LD等を含め障害のある児童・生徒等やその保護者に対して総合的な支援を行うための地域性と専門性を備えたシステムです。
各区市町村を基礎的な単位として教育、保健・医療、福祉、労働等の関係機関や専門家がネットワークを構築する「特別支援プロジェクト」と、都立盲・ろう・養護学校等と地域の幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等が日常的な連携体制を構築し、LD等を含め障害のある児童・生徒等の教育内容・方法等の充実を図る「パートナーシップ」を主な機能とします。
LD等を含め障害のある児童・生徒等の乳幼児期から学校卒業後への円滑な移行を図るため、各区市町村を基礎的な単位として教育、保健・医療、福祉・労働等の連携に基づく相談支援体制を整備するためのモデル事業を実施します。「特別支援プロジェクト」において都立盲・ろう・養護学校等は、特別支援教育のセンター的機能を発揮し、区市町村が行う就学・転学相談や就学支援体制の整備、就労支援等を行います。モデル事業終了後は、その成果を区市町村へ周知し、円滑な導入が図られるよう指導・支援していきます。なお、第一次実施計画においては、特に乳幼児期から学齢期への円滑な移行を支援するための体制整備に向け、「特別支援プロジェクト(就学支援)」を実施します
今後、都内全域(島しょ地区を含む。)を複数のエリアに分割し、それぞれのエリアにおいて、都・区立知的障害養護学校(小学部・中学部設置校)を「センター校」として指定し、都と区市町村の役割分担を踏まえた新たな連携体制を構築していきます。
センター校は、各エリア内の区市町村教育委員会と緊密な連携を図り、小・中学校、幼稚園、保育所、都立高校、保護者、都民等が抱えるニーズを把握するとともに、それら地域のニーズに適切に対応できる支援策について調整・実施します。
また、センター校は、都立盲・ろう・養護学校等間の連携を強化するため、周辺の盲学校、ろう学校、養護学校(肢体不自由、病弱等)と「盲・ろう・養護学校連絡会議(仮称)」を行い、地域の特別支援教育推進のための中核的機関としての役割を果たします。
「特別支援プロジェクト」や「パートナーシップ」の充実を図るため、すべての都立盲・ろう・養護学校がその専門性や施設・設備を生かし、地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮し、指導・研修、教育相談、情報提供・理解啓発等を実施していきます。
具体的には、地域の幼稚園や保育所、小・中学校等からの要請に応じた巡回相談の実施や、教育内容・方法の充実に関する研修会や合同研究の実施、保護者等からの教育相談への対応、地域住民や都民への特別支援教育に関する理解啓発や情報提供などを行います
各区市町村における「特別支援プロジェクト」の推進・充実を支援するため、都において教育庁、福祉保健局、産業労働局、厚生労働省東京労働局、関係団体(区市町村、経済界、医師会、福祉団体、保護者代表等)の連携によるネットワークを構築します。
主に中学校の通常の学級や心身障害学級から進学してくる、知的障害が軽い生徒を対象として、専門学校等への進学も含め、将来の職業的自立に向けた専門的な教育を行うことを目的とした高等部を設置します。新しいタイプの高等部には、企業就労をめざす職業学科(仮称)と資格取得等を目的とした進学をめざす普通科(仮称)を設置します。
なお、障害が軽い生徒を対象とした高等部は通学区域は設けず、都内全域から生徒を募集(定員制)します。また、既存の青鳥養護学校都市園芸科と南大沢養護学校産業技術科の2つの職業学科は、新しく開校する学校に発展的に統合します。第二次実施計画以降については、今後、生徒の動向や地域バランス等を踏まえ、新たな設置計画を検討していきます。
内容 | 設置場所 | 年度別計画 | |||
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開校予定年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | |
永福学園養護学校(仮称) | 都立永福高校跡地 | 基本計画検討委員会(知) | 基本設計(知) 実施設計(知) |
工事(知) | 開校(知) |
平成19年度(知) 平成21年度(肢) |
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基本設計(肢) | 実施設計(肢) | 工事(肢) | |||
青梅東学園養護学校(仮称) | 都立青梅東高校跡地 | 基本計画検討委員会(知) | 基本設計(知・肢) | 実施設計 (知・肢) |
工事(知・肢) |
平成21年度(知・肢) | |||||
南多摩地区学園養護学校(仮称)※ | 南大沢学園養護学校 | 基本計画検討委員会(知) | 基本設計(知) | 実施設計(知) | |
平成22年度(知) |
※南大沢学園養護学校を知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部単独校とするに当たっては、多摩養護学校を知・肢併置型養護学校とし、知的障害教育部門の高等部に、職業類型(福祉コース等)を設定する。
障害が重複する児童・生徒に対する教育内容・方法の充実を図るため、自立活動の指導など、それぞれの教育部門の専門性を相互に活用することを目的として、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門を併置する学校を設置します。なお、両教育部門は、それぞれの障害種別における教育の専門性を十分に確保するとともに、児童・生徒の安全面にも十分に配慮した設置・運営形態とします。
また、これにより、現在の肢体不自由養護学校の通学区域を縮小し、スクールバスの乗車時間の縮減を図ります。
内容 | 設置場所 | 年度別計画 | |||
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設置予定年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | |
永福学園養護学校(仮称) | 都立永福高校跡地 | 基本計画検討委員会(知) | 基本設計(知) 実施設計(知) |
工事(知) | 開校(知) |
平成19年度(知) 平成21年度(肢) |
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基本設計(肢) | 実施設計(肢) | 工事(肢) | |||
青梅東学園養護学校(仮称) | 都立青梅東高校跡地 | 基本計画検討委員会(知) | 基本設計(知・肢) | 実施設計 (知・肢) |
工事(知・肢) |
平成21年度(知・肢) | |||||
多摩養護学校※ | 多摩養護学校 | 基本設計(知) | 実施設計(知) | ||
平成19年度(知) |
※南大沢学園養護学校の普通教室不足を早期に解消するため、平成19年度から、多摩養護学校において、知的障害教育部門を設置する。
中学部・高等部の6年間を見通した教育課程を編成し、大学進学等をめざす中高一貫型教育を行う中央ろう学校(仮称)を設置します。中央ろう学校は、生徒や保護者の早期開校への要望にこたえるため、新校舎(現杉並ろう学校敷地内)が竣工(平成21年度)するまでの間、中学部は大塚ろう学校内に、高等部は石神井ろう学校内に暫定的に設置(平成18年度開校)します。
都立高校等へ進学した後、病気のために長期欠席や中途退学を余儀なくされる生徒たちが、医療・生活管理体制の整った学校で、後期中等教育段階にある生徒にふさわしい教育を受けることができるよう、平成18年度に病弱養護学校高等部を久留米養護学校(全寮制)に設置します。
各障害種別の学校数や在籍者数の増減、地域バランス等に配慮しながら、都立盲・ろう・養護学校全体で規模と配置の適正化を図ります。
また、都立盲・ろう・養護学校で学ぶ児童・生徒の障害の程度等に応じた対応ができるよう、新たなタイプの学校づくりを進めながら、規模と配置の適正化を図ります。
特に、肢体不自由養護学校については、現在、平均72分を要しているスクールバス利用の乗車時間を平成27年度までに平均60分程度とすることを目標に、規模と配置の適正化を図ります。
都立高校改革の結果閉校となる学校の跡地等を有効に活用しながら、適正な規模と配置を図ります。
第一次実施計画における都立盲・ろう・養護学校の配置については、高校跡地等を活用した新しいタイプの知的障害養護学校の設置やろう学校の再編整備により閉校となるろう学校の施設を活用した知的障害養護学校の設置等を行っていきます。
本計画完成時(平成27年度)の学校数は、児童・生徒数の動向や国の法改正等によって変動する場合がありますが、知的障害教育部門と肢体不自由教育部門の併置化等により、現行(平成16年度)規模程度としていきます。
障害種別 | 平成16年度 | 平成19年度末 | 第一次実施計画完成時 | ||
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盲・ろう・養護学校 | 55校1分校 | 53校1分校 | 56校1分校 | ||
盲学校 | 4校 | 4校 | 4校 | ||
ろう学校 | 8校 | 4校 | 4校 | ||
養護学校 | 43校1分校 | 45校1分校 | 48校1分校 | ||
知的障害養護学校 | 28校1分校 | 30校1分校 | 31校1分校 | ||
肢体不自由養護学校 | 12校 | 11校 | 11校 | ||
知・肢併置校 | 2校 | 3校 | 5校 | ||
病弱養護学校 | 1校 | 1校 | 1校 |
知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部3校の設置と多摩養護学校(現在肢体不自由単独 校)に知的障害教育部門を加えて併置校にするほか、次のとおり、新たに知的障害養護学校を設置します。
内容 | 設置場所 | 別計画 | |||
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開校等予定年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | |
大田地区養護学校(仮称) | 大田ろう学校 | 工事 実施設計 (改修) |
開校 工事 |
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平成18年度 | |||||
品川地区養護学校(仮称) | 品川ろう学校 | 基本設計 | |||
平成23年度 | |||||
江東地区第二養護学校(仮称) | 江東ろう学校 | 基本設計 | |||
平成24年度 |
都立盲・ろう・養護学校の適正な規模と配置の実施等により通学区域が縮小され、「通学困難」を理由とする寄宿舎への入舎対象者がますます減少していくと推測されるため、寄宿舎の配置数を段階的に減らしていきます。平成16年度現在11舎ある寄宿舎を、本計画完成時の平成27年度までには、5舎にしていく予定です。
視覚障害のある児童・生徒等の受入れをする寄宿舎については、障害の特性に配慮し、通学の安全確保のために地域性を考慮した配置とします。
島しょ地区に在住する児童・生徒等の受入れのため、各障害種部門の寄宿舎を配置し、対応できるよう配慮します。
寄宿舎の施設・設備の安全性及び機能性等を十分に確保した上で、複数の障害種部門を併置する設置形態を導入していきます。
寄宿舎は、現在のように寄宿舎を設置している学校の児童・生徒等のみが利用できるものから、寄宿舎が設置されていない学校の児童・生徒も、寄宿舎へ入舎する必要が生じた場合に、同一の障害種部門の寄宿舎であれば、原則として寄宿舎設置校へ転学の上で入舎できるようになります。また、その際の転学手続はできる限り速やかに進めます。
寄宿舎の利用については、原則として、「通学困難」による入舎に限定していきます。
「通学困難」は、次の場合を指します。
当面は、家族に複数の障害児(者)がいたり、保護者が長期の病気や家族の介護等の理由により通学の付き添いが困難であり、かつ長期で継続的な場合等の理由に限定し入舎を認めていきます。
なお、新たな入舎基準は、すべての寄宿舎に平成19年4月1日から適用します。
閉舎後は、普通教室等に転用するなど障害のある児童・生徒等のために有効に活用していきます。
※現在、八王子盲学校及び八王子養護学校の両寄宿舎は、合築された建物の中でそれぞれが管理・運営を行っています。今後、平成19年度末に八王子養護学校の寄宿舎を閉舎し、八王子盲学校が、盲・知ともに一括運営していくことになりますが知的障害部門も視覚障害部門も受入れていく機能に変更はありません。
土肥臨海学園及び聖山高原学園をそれぞれ平成16年度末、18年度末に閉所します。
今後は、児童・生徒及び保護者の多様なニーズに対応するため、宿泊施設の情報に関するデータベースの作成や医師や臨時介助員等の付き添い範囲の拡大を図り、都立盲・ろう・養護学校における移動教室等の宿泊行事の充実を支援し、より安全に宿泊を伴う学校外活動が実施できるよう対応を進めます。
(1) 知的障害養護学校における普通教室の確保【新規】 (第一次配置計画)
対象学校名 | 供用開始予定年度 | 対象学校名 | 供用開始予定年度 |
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中野養護学校 | 平成18年度 | 葛飾養護学校 | 平成20年度 |
調布養護学校 | 平成19年度 | 南大沢学園養護学校 | 平成19年度 |
八王子養護学校 | 平成19年度 | 板橋養護学校 | 平成20年度 |
墨田養護学校 | 平成20年度 | 高島養護学校 | 平成20年度 |
町田養護学校 | 平成20年度 | 清瀬養護学校 | 平成20年度 |
羽村養護学校 | 平成19年度 | 青鳥養護学校久我山分校 | 平成22年度 |
(2) 児童・生徒に対する通学時間の負担軽減【新規】
(3) ITを活用した教育環境の整備
今後、社会全体が、LD等を含め障害のある児童・生徒等のライフステージに応じた適切な支援をしていくことができるよう、都及び各区市町村、関係機関・団体、保護者等が密接な連携を図り、小・中学校の通常の学級の担任や保護者、児童・生徒を始めとして、広く都民への理解啓発活動を進める必要があります。