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平成23年3月25日
教育庁

平成19年度及び平成20年度都立蒲田高等学校入学者選抜における不適正な選考について

 平成19年度及び平成20年度都立蒲田高等学校入学者選抜における合格者の決定に当たり、不適正な事実を確認しましたので、その内容についてお知らせします。


1 事実の経過

(1) 都教育委員会は、平成18年7月、高い中途退学率等、生徒指導上の課題を解決することを目的として、都立蒲田高等学校を「エンカレッジスクール」に指定した。
 エンカレッジスクールは、力を発揮できずにいる生徒を積極的に受け入れ、30分授業、体験学習などを取り入れた、いわゆる「学び直しができる」高校である。このため、入学者選抜では学力検査を行わず、面接、小論文及び実技検査により、学び直しの意欲のある生徒を入学させる選抜を行っている。

(2) 都立高等学校入学者選抜実施要綱においては、調査書点、学力検査点及び面接点等を合計した点数(総合成績)により作成した「総合成績順に並べた一覧表」を基に、総合成績の順に合格候補者を決定するとなっており、これは学力検査を実施しないエンカレッジスクールでも同じである。
 しかし、芝尾仁校長(在任期間:平成18年4月〜平成21年3月、現在:西部学校経営支援センター学校経営支援担当課長)は、調査書点、面接点、小論文点及び実技検査点を合計した総合成績の順に合格候補者を決定しなくてはならないにもかかわらず、エンカレッジスクールの第一期生が受検する平成19年度入学者選抜から、総合成績によらず、頭髪・服装・態度等に課題のある生徒は合格候補者にはしない方法をとることにした。

(3) 同校長は、頭髪・服装・態度等に課題のある生徒を合格候補者にしないようにするため、願書提出時や検査当日の受検者の様子を観察することを蒲田高等学校の実施要項に定め、教職員に周知した。また、同年10月以降、学校説明会や中学校訪問等の機会を通じて、中学生等に対して、頭髪・服装・態度等に課題がある場合には入学できないと説明した。

(4) 副校長(在任期間:平成16年4月〜平成20年3月)は、入学願書提出日に受検者の願書提出時の様子を観察したり、検査当日に受検者の面接控室等の様子を教員から集約したりして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒の資料を作成し、同校長に提出した。

(5) 同校長は、教務担当主幹(在任期間:平成18年4月〜平成19年3月)が作成した「総合成績順に並べた一覧表」の中から、同副校長が集約した資料を基にして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒を不合格者として選定した。
 その後、同校長は、不合格者として選定した受検者が合格圏内に入らないよう、同教務担当主幹及び教務部所属の教諭(在任期間:平成18年4月〜平成21年3月)に面接点の改ざんを指示し、面接点を改ざんした「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を作成させた。

(6) 同校長は、「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を基に、校内の選考委員会において合格候補者を決定するとともに、受検者の改ざん後の面接点を記載した得点表を中学校に送付した。

(7) 同校長は、平成20年度入学者選抜においても同様の方法により合格候補者を決定することとした。
 同副校長は、受検者の様子を平成19年度入学者選抜と同様に集約し、同校長は、教務担当主幹(在任期間:平成19年4月〜平成22年3月)が作成した「総合成績順に並べた一覧表」の中から、同副校長が集約した資料を基にして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒を不合格者として選定した。
 同校長は、不合格者として選定した受検者が合格圏内に入らないよう、同教務担当主幹に面接点の改ざんを指示した。同教務担当主幹は、面接点の改ざんだけでは不合格者として選定したすべての受検者を合格圏外にできなかったため、改めて同校長の指示を受け、小論文点や実技検査点も改ざんした。
 その後、同校長は、「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を基に、校内の選考委員会において合格候補者を決定するとともに、受検者の改ざん後の面接点等を記載した得点表を中学校に送付した。

(8) この結果、総合成績によれば合格であるにもかかわらず、不合格とされた受検者数は次のとおりである。

  推薦に基づく選抜 分割前期募集 分割後期募集 延べ人数 実人数
平成19年度 0 1 1 5 1 6 3 3 6 8 5 13 8 4 12
平成20年度 2 1 3 7 5 12 2 3 5 11 9 20 3 6 9
2 2 4 12 6 18 5 6 11 19 14 33 11 10 21


2 本件の問題点

(1) 面接の時間以外の受検者の様子(頭髪等)による不合格者の決定
 蒲田高等学校はエンカレッジスクールであることから、「都立高等学校入学者選抜実施要綱」により学力検査を実施せず、調査書、面接、小論文及び実技検査の総合成績(合計点)により合格者を決定することとなっている。その際、エンカレッジスクールは「学び直しのできる」高校であることから、受検者の「学び直しの意欲」をみる面接を行わなくてはならない。
 しかし、本事案では、「都立高等学校入学者選抜実施要綱」に規定のない頭髪・服装・態度等の外見に関する情報により、総合成績によらず不合格者を決定した。このことにより、21名もの生徒の蒲田高等学校に入学して学ぶ機会を不当に奪った。
 仮に頭髪等に関する情報を選考に活用するのであれば、面接の時間の中で、受検者に対して、そのようにした事情、改善への意欲及び入学後の学校の指導方針等に対する考えなどを問い、その結果を面接点に反映させるべきであるが、そうしていない。

(2) 得点の改ざん及び順位の操作並びに得点表の中学校への送付
 「総合成績」によらず校長が不合格者を選定したのち、受検者の合否結果に合わせて、面接点、小論文点及び実技検査点を改ざんし、総合成績の順位を操作した。
 その後、改ざんした面接点、小論文点及び実技検査点を記した得点表を中学校に送付した。



3 発覚の経緯

 平成22年3月29日(月曜日)に教育庁総務部法務監察課に都立高等学校入学者選抜の不正に関する匿名の電話が、4月2日(金曜日)に同課にファクシミリによる通報があった。内容は、平成20年度都立蒲田高等学校入学者選抜における合格者の決定に当たり、不適正な選考が行われたというものであった。



4 都教育委員会の対応

(1) 蒲田高等学校における不正操作の全容を明らかにするため、関係者の事情聴取を行うとともに、同校に対してエンカレッジスクール指定後の過去4年分(平成19年度選抜から平成22年度選抜まで)の選抜資料の提出を求め、不適正な選考の有無について調査した。

(2) 他のすべてのエンカレッジスクールに加え、同様に学力検査を課さない選抜を実施するすべてのチャレンジスクール*注1に対し、平成18年度選抜から平成22年度選抜までの過去5年分の選抜資料の提出を求め、不適正な選考の有無について調査した。
 なお、東村山高等学校、稔ヶ丘高等学校及び八王子拓真高等学校(チャレンジ枠)については、指定年度以降について調査した。

(3) すべての都立高等学校を対象に、平成18年度選抜から平成22年度選抜までの過去5年分の選考資料について、調査書点を算出した段階の資料及び各検査の得点を入力して換算点を算出した段階の資料と、総合成績順に並べ替えて合格者を決定した最終段階の資料とを照合し、選考の過程において各検査の得点が変更されていないかを確認する自己点検を実施した。



5 調査結果

(1) 事情聴取及び調査により、蒲田高等学校における平成21年度及び平成22年度入学者選抜は適正に実施されていることを確認した。

(2) 他のエンカレッジスクール及びチャレンジスクールについては、都教育委員会による選抜資料の照合・点検により、平成18年度選抜から平成22年度選抜のすべての年度における合格者の決定が適正に行われたことを確認した。

(3) すべての都立高等学校(閉校、閉課程の学校を含む262課程)において実施した自己点検の結果、平成18年度入学者選抜における日本橋高等学校の不正操作*注2を除き、平成18年度から平成22年度までの入学者選抜において、蒲田高等学校のような不適正な選考はなかったことを確認した。



6 調査結果を受けた都教育委員会の平成23年度選抜への対応

(1) 平成23年1月13日(木曜日)、校長連絡会において、採点から合格発表に至る選考業務の各段階において、複数の者による複数回の確認を行うとともに、経営企画室も含め、選考業務における不正や誤りを学校全体で防止するための校内チェック体制の整備を指示した。

(2) 1月31日(月曜日)、臨時校長連絡会を開催し、学校の最高責任者である校長には、副校長など管理監督者の立場にある者と共に、入学者選抜実施要綱・同細目等の内容に従って、公平かつ公正な都立高等学校入学者選抜業務を行うため、校内に万全な組織体制を構築し、事故を防止する責務があることを徹底した。



7 今後の対応

(1) 平成19年度及び平成20年度都立蒲田高等学校の入学者選抜における不適正な選考による合否結果を訂正し、当該受検者及び保護者への説明と謝罪を行うとともに、当該受検者への対応については、本人及び保護者の意向を十分確認して行う。
 なお、当該選抜において合格者となった者における合格の判定は有効とする。

(2) 都立高等学校を受検する生徒及び保護者へ向けた都教育委員会からのお詫びの文書を、3月25日(金曜日)付で区市町村教育委員会を経由して中学校へ発出するとともに、都教育委員会のホームページに掲載する。

(3) 事件の概要及び公平・公正な入学者選抜の実施について、3月25日(金曜日)付で通知文書を全都立高等学校長あて発出する。

(4) 臨時校長連絡会(3月29日(火曜日))を開催し、本件の詳細について説明するとともに、入学者選抜の信頼回復のため、再発防止及び厳正かつ公平・公正な入学者選抜の実施を徹底する。



<問い合わせ先>
都立学校教育部高等学校教育課
電話03-5320-6745


*注1 チャレンジスクール
 小・中学校で不登校経験をもつ生徒や高校中途退学者等、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒が、自らの目標を見付け、それに向かってチャレンジすることを目的とした高校である。

*注2 日本橋高等学校における不正操作
 平成18年度入学者選抜(第一次募集)において、同校を平成17年度に暴力事件等の生活指導上の課題により退学した男子生徒2名が再受検した際、選考委員会より提示された資料から当該生徒が合格者となる見込みであることを確認した校長が、当該受検者の再入学による生活指導上の課題の再発を懸念し、副校長に当該受検者2名が合格者とならないよう、合否判定に用いる成績の不正操作を指示した。
 副校長は、校長の指示に基づき、当該受検者の調査書点等を減じるなどして、当該受検者の総合成績による順位を下げ、当該受検者を合格候補者から除外した。





平成19年度及び平成20年度都立蒲田高等学校入学者選抜における不適正な選考について

 平成19年度及び平成20年度都立蒲田高校入学者選抜において、当時の校長が願書提出時等の受検者の様子を基に21名を不合格としたことが、東京都教育委員会の調査により明らかとなりました。
 東京都教育委員会は、都立蒲田高校に入学することができなかった元受検生の皆様に、心からお詫び申し上げます。そして、都立高校への進学を希望している皆様や保護者並びに都民の皆様の都立高校入学者選抜に対する信頼を著しく損なったことに対し深くお詫び申し上げます。
 この事案を把握して以降、東京都教育委員会は、本事案の全容解明を慎重に行うとともに、すべての都立高校長に対し、過去5年間の入学者選抜の選考に関する表簿の点検・照合による選考過程及び合否結果の再確認を指示しました。
 その結果、他の都立高校の入学者選抜(平成18年度都立日本橋高校入学者選抜を除く。)については厳正かつ公平・公正に実施されたことを確認しました。
 東京都教育委員会は、都立高等学校入学者選抜に対する信頼回復に向けて、今後も全力を挙げて取り組んでまいります。

   平成23年3月25日

東京都教育委員会


 


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