プレス発表資料

平成15年12月18日
教育庁

教科書会社等との接触に関する指導主事の処分等について


 先般、都及び市教育委員会の指導主事が、教科書会社社員と共に旅行するなど不適正な接触を行った事実が明らかになりました。
 この事実を契機に、東京都教育庁内に「指導主事の服務に関する調査委員会」を設置し調査した結果、都及び区市教育委員会に在職する指導主事及び過去に在職した指導主事の一部について、教科書の執筆や中元の受領等不適正な行為があったことが確認されました。
 これらのことに関して、東京都教育委員会では、本日、以下のように指導主事、教育庁管理職及び学校職員の処分等を行ったのでお知らせします。


1 教科書会社等との接触に関する調査について

 東京都教育庁内に「指導主事の服務に関する調査委員会」を設置し、指導主事(区市教育委員会指導主事、指導室長を含む。以下同じ。)及び平成10年度以降の指導主事経験者について、教科書会社・教材会社との不適切な接触の有無を調査した。
 調査の結果、調査対象者683人中、19人(区市教育委員会において処分等を行う者を含む。以下同じ。)に懲戒処分等に相当する教科書会社等との不適正な接触が確認された。

2 服務事故者に対する処分等について

(1)処分対象
  教育委員会在職中に教科書会社等との不適正な接触が確認された指導主事及び指導主事経験者
不適正な接触の内容
  I 教科書の執筆、編集、作成助言等
  II 教科書会社等社員との旅行、飲食
  III 教科書会社等からの中元、歳暮等の受領

(2)処分事由
  教科書採択補助業務に携わる教育委員会職員が教科書会社等の利害関係者と接触することは、教科書採択の公正さに対する都民の信頼を損なう恐れのある行為であることから、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)の規定に基づき処分等を行った。

(3)管理監督者の処分等
  教科書採択の公正さに対する都民の信頼を損なう恐れのある服務事故が発生したことについて、組織としての責任を明確にするため、服務事故者の監督者及び東京都教育委員会教育長に処分等を行った。

(4)処分等の内容
  ア 服務事故者
減給
1/5 1月
減給
1/101月
戒告 文書訓告 口頭注意 合計
主任指導主事(都)        
統括指導主事(都)        
指導主事(都)  
校長(都)        
指導室長(市)    
指導主事(市)      
教頭(市)        
合計 18
 上記のほか、区教育委員会において処分等を行う必要がある者1名について、区教育委員会で処分等を行うよう依頼した。
 イ 管理監督者
文書訓告
教育長
理事
部長
校長(都)
校長(区)
合計

(5)その他
  服務事故者は、個人的に関わった教科書執筆、教材作成等に関連して接触を行ったものであり、いずれの者についても、接触のあった教科書会社等から教科書採択その他の職務に関して依頼を受けた事実はなく、教科書採択事務にも影響はなかった。

(6)教科書会社等への対応
  教科書会社等からの中元等の受領や、教科書会社等との飲食、旅行などの行為が、教科書採択及び教材選定の公正さに対する都民の信頼を損なう重大な事故であることを踏まえ、今回これらの事故に関わった教科書会社等に対し、今後、教育委員会職員と不適正な接触をすることのないよう申し入れる。

3 ガイドラインの制定について

 教育職員が教科書、教材などの作成に関わることは、児童・生徒が学びやすい教科書及び教材の実現や教育職員自身の教科の専門性の向上の効果をもたらす一方、教科書・教材会社との接触により教科書採択及び教材選定の公正さに疑念を生じさせる恐れがある。
 今後、教育委員会が行う教科書採択及び教材選定の公正さを確保するとともに、職務専念義務を遵守させるため、教育委員会職員及び公立学校教育職員を対象に「教科書、教材等の作成に関するガイドライン」を定め、教科書、教材等の作成に関わることのできる者の範囲及び手続きを明確化した。

4 東京都公立学校美術展覧会への出品作品の運搬について

 東京都公立学校美術展覧会(東京都教育委員会主催、出品作品の運搬は区市教育委員会所管)に出品する児童・生徒の作品を、教科書会社が無償で運搬し、その見返りに、教科書に児童・生徒の作品を掲載させ、その教科書を採択しているのではないかとの指摘があった。
 このことに関し調査したところ、21区市が教科書・教材・教具関係業者に作品の運搬を依頼した事実が確認されたものの、見返りとして教科書に作品掲載した事実はなく、教科書採択事務への影響もなかった。


 
問い合わせ先
 教育庁総務部総務課
 電話 03-5320-6721




教科書・教材等の作成に関するガイドライン

平成15年12月18日教育庁

1 目的

 児童・生徒の指導に直接携わる教育職員が教科書、教材(児童・生徒向けの副教材、問題集、参考書、教育ソフト等教科書に準拠して作成されたあらゆる補助教材をいう。以下同じ。)などの作成にかかわることは、教育現場に適した、児童・生徒が学びやすい教科書及び教材の実現や教育職員自身の教科の専門性の向上等の効果をもたらす。
 しかし、一方で、教育職員及び教育委員会事務局職員は、教科書採択の補助業務や教材選定にかかわることがあり得るため、教科書・教材会社と接触することにより、教科書採択及び教材選定の公正さに都民の疑念を生じさせるおそれがある。
 そこで、今回、教科書採択及び教材選定の公正さを確保するとともに、教育職員及び教育委員会事務局の職員に対し、公務員としての職務専念義務を遵守させるため、教科書又は教材の作成等に関する業務(以下「教科書作成等」という。)への関与についてのガイドラインを明確化する。

2 適用範囲

 本ガイドラインは、都立学校に勤務する教育職員及び東京都教育委員会事務局(教育事務所、教育庁出張所及び事業所を含む。以下「都教育委員会事務局」という。)に勤務する職員(以下「教員等」という。)に適用される。区市町村立学校の教育職員及び区市町村教育委員会事務局の職員については、都と同様の扱いをするよう、区市町村教育委員会に対して関係規定の整備を依頼する。

3 教科書作成等

○…条件付許可 ×…禁止

 
関与の可否 
 
教科書 教材




 
校長
 
×
 
教科書選定委員会委員長となるため ×  教材選定の直接的な権限を有しているため
 
教頭
 
×
 
教科書選定委員会副委員長となるため × 
主幹 教科書採択の補助業務に、直接かかわらないため 教材選定の直接的な権限を有していないため
教諭






校長 × 教材選定の直接的な権限を有しているため
 
教頭 
 
× 
主幹 教材選定の直接的な権限を有していないため
教諭







局 
教員系管理職 × 教科書採択権限を有する教育委員会に勤務する職員であるため × 教科書採択権限を有する教育委員会に勤務する職員が、自らが作成した教材の準拠元となった教科書採択の補助業務に携わることで、教科書採択の公正さに都民の疑念を生じさせる恐れがあるため※
指導主事 × ×
専門教育主事 × ×
その他
事務局職員 
× × 
 ※ ただし、その教材の公益性が高く学校教育上必要である場合かつ教科書会社との接点がないことが明らかな場合等特段の事情がある場合は、教育委員会事務局職員は教材作成に関与することができる。
〈条件〉
ア 教員等が教科書作成等に従事する場合は、兼業の許可を受けること。
イ 兼業の許可を受けて教科書の作成に関与した教員等は、作成に関与した教科書が選定・調査・採択の対象となっている年度においては、教科書の選定・調査・採択にかかわることはできないものであること。
ウ 兼業の許可を受けて教材作成に関与した教員等は、作成に関与した教材が選定対象となる年度においては、当該教科に係る教材選定にかかわることはできないものであること。
エ 区市町村において教科書作成等に従事した教育職員又は教育委員会事務局等の職員が都立学校又は都教育委員会事務局に異動した場合も、イ又はウと同様に取り扱うこと。

4 教科書及び教材以外の教育関係の原稿執筆・編集等

 教科書及び教材以外の教育関係の原稿執筆・編集等については、それが定期的・継続的であり、かつ、謝礼(原稿料、車代等名目は問わない。)又は報酬を得る場合には、兼業の許可を受けなければならない。
 また、教科書・教材会社から依頼され、謝礼又は報酬を得て教科書及び教材以外の原稿執筆に従事する場合は、それが定期的・継続的なものでなくとも、上司の承認を得なければならない。

5 許可の制限

(1)教科書作成等に係る兼業を許可することができるのは、各年度において、教員等一人につき1件を限度とする。
(2)兼業許可の件数は、作成等に従事する教科書又は教材の種別ごとに1件と数えるものとする。ただし、2か年以上にわたる兼業の許可を受けている場合は、各年度ごとに1件と数える。
(3)許可権者は、教科書作成等についての兼業許可申請を受けた場合は、その教員等の本務に支障がないことが明らかでなければ許可することはできない。

6 氏名等の報告

東京都教育委員会は、区市町村において教科書作成等に従事した区市町村立学校の教育職員及び事務局職員の氏名等の報告を求めることとする。

附則
1 施行日
 平成16年1月1日から施行する。

2経過措置
 (1)平成15年12月31日までに依頼され平成16年1月1日時点で教科書作成等に従事する教員等は、これについて兼業の許可を受けなければならないものとする。ただし、既に許可を受けている場合は、この限りではない。
 (2)平成15年12月31日までに依頼され平成16年1月1日時点で教科書及び教材以外の教育関係の原稿執筆・編集等(定期的・継続的であり、かつ、謝礼又は報酬を得るものに限る。)に従事する教員等は、これについて兼業の許可を受けなければならないものとする。ただし、既に許可を受けている場合は、この限りではない。
 (3)平成15年12月31日までに依頼され平成16年1月1日時点で2件以上の教科書作成等に従事する教員等の当該教科書作成等に関する平成16年3月31日までの兼業に係る許可は、5の規定にかかわらず、2件以上許可することができるものとする。
 (4)平成16年1月1日時点で教科書作成等に従事する教員等は、平成16年1月から同年3月までの間に新たに教科書作成等の依頼を受けることはできない。



公立学校美術展覧会における出品作品の運搬について


 指導主事と教科書会社との適切でない関わりについて新聞報道された件に関し、区市教育委員会の費用負担が無く、教科書会社が、公立学校美術展覧会への児童・生徒の出品作品を運搬し、その見返りとして、教科書に児童・生徒の作品を掲載させ、その教科書を採択しているのではないかとの指摘に基づいて、区市町村における実情を把握した。調査結果は下記のとおりである。


1 公立学校美術展覧会における出品作品の運搬等にかかわる調査

 平成15年10月23日(木)から10月31日(金)までの間に、区市町村教育委員会に対して、公立学校美術展覧会における出品作品の運搬の実態及び作品の搬入・搬出の便宜と教科書採択・ 副教材購入との関係、児童・生徒作品の教科書等への掲載との関係について調査を行った。

2 調査結果

(1) 費用負担が無く、教科書・教材・教具関係業者に、作品の搬入・搬出を委託した区市の数
校種 教科 12年度 13年度 14年度
小学校 図画工作
家庭
書写

  2
  1
10
  2
  1

  2
  1
中学校 美術
技術・家庭
書写
16
  3
  1
17
  2
  1
17
  2
  1
上記に該当する区市数 19 19 20
  町村は該当なし。平成12〜14年度の該当区市実数は21
 
(2)  教科書採択・副教材購入との関係
  上記21の区市教育委員会に確認したところ、「担当者が教科書調査委員会に関わっていたが、委員会は合議制で行われ、作成した資料は、保護者も加わった選定審議会を経て教育委員会に参考資料として提供された」、「教材会社が作品の搬入・搬出を行ったが、使用教材届を確認し、特定の業者に偏っていないことを確認した」など、すべての区市が、作品の搬入・搬出の便宜と教科書採択・副教材購入との間に関係が無いことを明らかにしている。
(3) 児童・生徒作品の教科書等への掲載との関係
 ○小学校図画工作(平成12〜14年度)
   費用負担が無く教科書会社に搬入・搬出を委託した区市の数 ・・・・・9
   その内、教科書等に作品掲載のあった区市の数         ・・・・・0
 ○中学校美術(平成12〜14年度)
   費用負担が無く教科書会社に搬入・搬出を委託した区市の数 ・・・・・14
   その内、教科書等に作品掲載のあった区市の数         ・・・・・0
 上記のことから、教科書会社への搬入・搬出の委託と教科書等への掲載との間には、関係は認められない。

3 今後の対応

  今年度実施する公立学校美術展覧会の作品の搬出・搬入については、区市町村教育委員会が費用負担をし、適正に実施するよう指導する。


<問い合わせ先>
東京都教育庁指導部義務教育心身障害教育指導課
電話 03-5320-6841

 
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