東京都教育ビジョン 平成16年4月 東京都教育委員会


 

第1章

1 教育

 本編において、教育という場合は、21世紀の東京ひいては日本の創造的発展を担う人間の育成という目的の基に、子どもの成長を促す行為全体を指しており、学校に限らず、家庭や地域・社会において行われる子育ても教育に含んでとらえている。

2 乳幼児期から学童期、思春期そして青年期

 本編では、「乳幼児期」はおおむね就学前を、「学童期」は小学生を、「思春期」は中学生・高校生の相当年齢を、「青年期」は高校卒業相当年齢から20代半ばまでの年齢を指している。

3 家庭

 一般に家庭という場合は、親族などの家族関係からなる集団をさすが、本編で家庭という場合は、それに加え、児童福祉施設等における、養育者と子どもの関係をも含み、子どもが日常生活を過ごす場を家庭として捉えている。

4 学校

 本編で学校という場合は、単に学校教育法第1条に定められた学校に限らず、幼稚園や保育所から大学・専修学校・職業訓練校等を含み、公私を問わず、広く子どもたちに対して、知識や技能を指導する場を指している。

5 地域

 本編で地域という場合は、地縁的コミュニケーションの成立し得る広さの領域を想定しており、具体的には、中学校区程度である。教育の担い手としては、町内会、学区PTA、狭い範囲のNPOやボランティア団体などが想定される。

6 社会

 本編で社会という場合は、地縁的関係を超えた広い範囲の領域を想定しており、そこにおける教育の担い手としては、企業やマスコミ、広域のNPOや広域のボランティア団体などが想定される。

7 高等教育機関

 本編では、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、高校卒業を入学資格とする専修学校の専門課程(いわゆる専門学校)を高等教育機関としている。高等専門学校は、卒業者に準学士の称号が与えられ、大学に編入できる。また、専門学校を修了した者も、大学に編入できる。

第2章

8 小1プロブレム

 小学校に入学したばかりの小学校1年生が集団行動が取れない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数ヶ月継続する状態。これまでは1か月程度で落ち着くと言われていたが、これが継続するようになり就学前の幼児教育が注目され出した。

9 それぞれの指導や保育の内容

 幼稚園の教育課程は、学校教育法施行規則第76条の規定に基づき、文部科学大臣が公示する「幼稚園教育要領」に定められている。保育所の保育内容については、厚生労働省雇用均等・児童家庭局が示す「保育所保育指針」によっている。

10 学力

 本編で「学力」という場合には、単に知識の総量のみを指すのではなく、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力等を含めた能力を指している。

11 生きる力

 平成8年7月の中央教育審議会の答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」では、「我々はこれからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を「生きる力」と称することとし、これらをバランスよくはぐくんでいくことが重要であると考えた。」と定義しており、本編でも「生きる力」を同様に考えている。

12 ナショナルミニマムとして必要な学力

 本編では、今日、国民として必要不可欠な学力をいい、国際化の進展した現代では、「読み・書き・計算」に加え、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、人間関係能力などが求められる。

13 構造改革特区

 地域を限定して特定分野の規制を総合的に緩和・撤廃し、経済の活性化を図る制度。経済財政諮問会議の提唱により、平成14年に首相を本部長とする構造改革特区推進本部が設置された。

14 LD、ADHD、高機能自閉症

 LDとは学習障害のことで、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に困難を示す状態。(文部科学省平成11年「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の学習方法に関する調査研究協力者会議」報告書)
 ADHDとは、注意欠陥/多動性障害のことで、年齢あるいは発達に不釣合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。(文部科学省 平成15年「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」)
 高機能自閉症とは、1人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く、特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。(同上)

15 特別支援教育

 これまでの特別支援教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて、障害のある児童・生徒に対して適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うこと。
 障害の重度・重複化、多様化への対応や通常の学級における特別な教育的支援を必要とする児童・生徒への対応等の課題を解決するため、平成14年7月に「東京都特別支援教育改善検討委員会」が発足し、平成15年12月の最終まとめにおいて、特別支援教育の構築が必要であるとの提言を行っている。

16 義務教育改革に関する都と区市町村の連絡協議会

 平成14年12月から東京都教育庁部長級職員と区市町村の教育長の13名の委員からなる協議会を発足させ、公立義務教育の現状と課題について都と区市町村の共通理解を図り、課題解決に向けた施策の検討を行い、平成15年11月に報告書をとりまとめた。

17 情報リテラシー

 情報と情報手段を主体的に選択し活用するための個人の基礎的な資質。狭義にはコンピュータのような情報機器の活用能力の意味に使われるが、広義にはあらゆる情報手段の活用能力を意味する。

18 キャリア教育

 各学校段階の児童生徒に対し、将来、自分にとって最もふさわしい進路を主体的に選択し、その後の職業生活の中で自己実現を図るために必要な知識・技能・態度・価値観などを、学校内外のあらゆる活動を通じて、組織的・計画的に育成しようとする教育。

19 ものづくり教育

 「ものづくり基盤技術振興基本法」においては、製造業又は、機械修理業、ソフトウェア業、デザイン業、機械設計業その他工業製品の設計、製造若しくは修理と密接に関連する事業活動を行う業種をものづくり基盤産業と定めているが、本編においては、これらに加え、農林水産業など第一次産業の分野をも含み、これらの産業の発展を支える人材を育成することを目指す教育を、「ものづくり教育」とする。

20 キャリアプラン

 経営学の用語としては、キャリア−デベロップメント−プログラムと同義で、企業の労務管理で従業員の人生計画を企業内の仕事を通して実現するようにしむけることを言うが、本編では、自らの職業活動を中心とした人生設計・計画を意味する。

21 インターンシップやデュアルシステム

 インターンシップとは、生徒・学生が在学中に将来の進路と関連した就業体験を行う制度。
 デュアルシステムとは、ドイツの職業学校における職業訓練制度で、週に数日程度職業訓練に充て、企業で実際に働きながら職能を身つける制度。就業期間分の単位が認められ、給与も支払われる。
 都立六郷工科高校において導入する東京版のデュアルシステムは、学校と連携した企業において、10日間程度のインターンシップにはじまり2ヶ月〜4ヶ月の長期就業訓練へと就業訓練を段階的に経験することにより、実践的な技術・技能を身に付けるていく制度であり、長期就業訓練期間には、企業から、手当や交通費等の報酬を受けることも可能である。

22 ジョブシャドウ

 働いている人の後ろに張り付いて仕事を体験・見聞することにより、実際の職務のあり方や勤労について学ぶこと。東京都雇用・就業対策審議会答申では、企業の幹部等の後ろに一日張り付いて仕事の様子をつぶさに観察する「東京職業観察日」(ジョブシャドウ・デイ)の実施が紹介されている。

23 フリーター

 「自由・アルバイト・労働者」を組み合わせた造語。平成15年「労働白書」では、「15歳から34歳までで、1パートやアルバイトの呼称で働いている、仕事を主とする未婚女子と現在の就業継続期間5年未満の男子、2現在無業で家事・通学をしておらず、アルバイト・パートの仕事を希望するもの」と定義している。

24 ギャップイヤー制度

 大学入学資格を得た者が、社会的な見聞を広めるために、入学を1年程度遅らせて、職業体験やボランティア活動などを行う猶予期間のこと。イギリスなどで取り入れられている制度。

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