子どもは、大人の社会を映す鏡である。正直に生きることや地道に努力することの素晴らしさを、大人自身が模範を示すことで伝えていかなければ、健全な心をもつ子どもは育たない。次代を担う人材を育てるために、家庭・学校・地域・社会が、力を合わせて、取り組んでいかなければならない。
行政は、教育ビジョン実現に向けて、家庭・学校・地域・社会がその力を発揮できるよう支援役として、次の点に配慮しながら、その役割を果たして行かなければならない。
教育ビジョンが示した取組の方向は、子どもの育成という共通の視点に立って、子どもの福祉、教育、衛生、産業等がどうあるべきかを行政としてトータルに考えたものである。したがって、それを着実に実行していくためには、従来の縦割り組織を超えて、組織横断的な対応が不可欠である。
また、行政は、家庭・学校・地域・社会を子育ての主役に据えて、これら教育の担い手が相互に補完・協働しやすいように心がけて、積極的に支援役を努めていく。
教育ビジョンは、戦後教育の反省に立つものであり、課題解決の方向の中には、法的な整備や国の施策の転換を前提としているものもあり、それらについては、東京都のみでは、対応できない。これらの問題に対しては、国に積極的に提言を行い、法的な改正を含めて国レベルでの解決を要望していく必要がある。
また、逆に、区市町村と連携をしていかなければ解決が難しい問題もある。義務教育学校の設置者としてばかりではなく、身近に家庭や地域と接している区市町村だからこそ有効な施策もあり、21世紀を担う子どもたちの育成という共通の視点に立ち、都と区市町村が協力しながら実施していく。
教育ビジョンは、これまで都が進めてきた様々な教育改革と切り離せないものである。様々な教育改革は、その底辺に社会の変化という時間的な流れを前提として行われており、その時間的な流れに遅れた施策は、結局社会に受け入れられないであろう。何事も時機を失してはならない。スピードや適時性が施策の生命線でもある。時間軸の視点をもって、教育ビジョンの実現に向けて取り組んでいく必要がある。