ここから本文です

東京都心身障害教育改善検討委員会の中間まとめ[概要(ポイント)]

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

最終更新日:平成15年(2003)5月29日

1 諮問事項

「東京都における心身障害教育の今後の基本的な方向について」

2 中間まとめの概要(ポイント)

(1)現状認識と今後の在り方(序章)

(a)社会背景とLD等への新たな教育課題

近年の社会のノーマライゼーションの進展や児童・生徒の障害の重度・重複化や多様化の進行、小・中学校の通常の学級に在籍するLD(学習障害)やADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童・生徒への対応等、障害のある児童・生徒の教育をめぐる状況は大きく変化しており、これまでにない抜本的な改善が求められている。

(b)国(文部科学省)の動向

国の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」では、「障害の程度等に応じ特別な場で指導を行う『特殊教育』から障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う『特別支援教育』への転換を図る。」として、特殊教育から特別支援教育への転換という今後の基本的な方向が示された。

(c)新たな「特別支援教育」の構築

今後は、従来の心身障害教育の対象の障害に加えて、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童・生徒の教育的対応が必要であり、一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う新たな「特別支援教育」の構築が求められる。

(d)都独自の教育・社会環境と地域の総合的な「特別支援教育」のシステム

都の心身障害教育の改善に当たっては、国の「特別支援教育」の今後の基本的方向を踏まえつつも、首都東京独自の教育環境や社会環境に十分留意する必要がある。そのため、全都を対象とする広域的対応に加え、地域の総合的な「特別支援教育」のシステムを基本方策に据えた対応により、東京都の「特別支援教育」の改善を進める必要がある。

(2)東京都の心身障害教育の現状と課題(第1章)

  • 児童・生徒の障害の重度・重複化、多様化の進展
  • 盲学校、ろう学校の在籍者減と知的障害養護学校の在籍者の増加
  • 肢体不自由養護学校の通学負担
  • 教員の専門性の向上と外部の専門性の活用
  • 乳幼児期からの一貫した支援体制の構築
  • 多様な教育ニーズに応じた教育の推進
  • 地域と結びついた専門的な教育の充実
  • 小・中学校のLD等の特別な教育的支援を要する児童・生徒への対応

(3)今後の都の「特別支援教育」への展開に向けた基本的な方向(第2章)

(a)改善の理念と指針

改善の理念

障害のある幼児・児童・生徒等の特別な教育ニーズにこたえ、一人一人の能力や可能性を最大限に伸長する多様な教育を展開する

改善の指針
  1. 障害の重度・重複化、多様化に対応するため、LD等を含む障害のある児童・生徒等の個に応じた指導を充実し、「特別支援教育」を推進する。
  2. 児童・生徒等の特別な教育ニーズに対応するため、都と区市町村が連携し、地域の実情に応じた「特別支援教育」体制を充実する。
  3. 児童・生徒等の教育ニーズに応じた専門的指導を充実するため、学校の専門性と教員の資質・専門性の向上を図る。
  4. 児童・生徒等の多様な教育ニーズに対応するため、教育環境の整備を推進する。

(b)改善のグランドデザインとしてのエリア・ネットワーク構想

  • エリア・ネットワーク
    改善の理念と指針に基づく都の「特別支援教育」の環境や体制の整備を進め、迅速で総合的な支援を行うため、全都を複数の地域(エリア)に分割し、エリアごとに、盲・ろう・養護学校と小・中学校等及び関係機関(福祉・保健・医療・労働等)でネットワークを構築し改善を進める。
  • パートナーシップ
    LD等を含む小中学校の障害のある児童・生徒に対する教育的対応を支援するため、各盲・ろう・養護学校が、エリア内の小・中学校等とパートナーシップ(日常的な連携体制)を形成し、教員研修、教育相談、指導内容・方法等についてセンター機能を十分に発揮する。
  • 特別支援プロジェクト
    区市町村をその基礎的な単位とした地域の教育・福祉・医療・労働等の関係機関による「特別支援プロジェクト」(乳幼児期から学校卒業後までの一貫した相談支援体制)を形成し、乳幼児期と学齢期、学齢期と卒業後の生活が円滑に移行できるよう、各成長段階の療育プログラムや指導計画等の継続性をもたせ、ライフステージを見通した「個別の支援計画」の提供を目指す。

(4)今後の改善の方向(ポイント)

(a)「特別支援教育」の推進とそのための都と区市町村との連携と支援(第3章・第4章)

盲・ろう・養護学校における「特別支援教育」の推進
  • 障害の重度・重複化、多様化に対応するため、個別指導計画の一層の充実を進めるとともに、障害の特性や児童・生徒等のニーズに応じた教育を推進する。
  • 盲・ろう・養護学校に在籍する児童・生徒が、居住する地域の小・中学校を「地域指定校」として「副籍」を置き、個々の障害の状態やニーズに応じた交流を実施することで、学齢期においても地域との関係を継続することができる新たなシステムの導入について検討する。
小・中学校における「特別支援教育」の推進
  • 区市町村教育委員会は、「特別支援教育」の場を整備充実するため、従来の心身障害学級の在り方を見直し、特別支援教室(仮称)の設置を進めるとともに、専門家の導入や教員の専門性向上のための研修体制の改善などを進める必要がある。
  • 小・中学校においては、在籍するLD等の特別な支援を要する児童・生徒に対する教育的対応の充実を図るため、「特別支援教育」コーディネーターを指名したり、校内委員会を設置したりするなど、校内の支援体制を充実する必要がある。

(b)専門性の向上と多様な教育ニーズに対応した教育環境の整備(第5章、第6章)

学校の専門性の向上と専門性の高い教員の確保と養成
  • 学校の専門性の向上を図るため、外部専門家や大学・専修学校等との連携、企業・地域の人材や学生・保護者等の民間の人材の活用、民間活力の導入、NPOとの連携などが有効である。
  • 教員の資質・専門性の向上を図るため、教員採用の工夫・改善や、教員の人事異動、人事交流、派遣研修等の改善について検討を進め、専門性の高い教員の確保と養成を進める。
児童・生徒のニーズや社会の変化に応じた教育の推進

障害の重度・重複化、多様化に対応するための複数の障害種部門を併置した学校の設置、自閉症などの障害特性に応じた専門的指導の充実のための教育環境整備の推進、後期中等教育の充実を図るための在り方についての具体的な検討や民間活力の導入による学校の活性化のためのPFI方式の活用などについての検討を進める必要がある。

盲・ろう・養護学校の規模と配置の在り方

適切な学習集団の確保、通学区域の再編による通学負担の軽減などを図るため、盲・ろう・養護学校全体の再編整備による学校の規模と配置の適正化について検討する。その際、エリア・ネットワークを充実するとともに、重複障害児童・生徒の教育の充実を図るため、必要に応じて、エリアのセンター校の役割を担う養護学校(知・肢併置)等を含めた学校の配置を検討することが必要である。

学校経営計画に基づく自律的改革と都民に開かれた学校づくり

盲・ろう・養護学校全体の質的向上を図るため、学校経営計画に基づく自律的・持続的改革を組織的に進め、都民に開かれた学校づくりを推進する。

(c)一人一人のニーズに応じた教育の展開をめざして(第7章)

  • 校長のリーダーシップに基づく主体的取り組み
  • 都教育委員会と区市町村教育委員会の密接な連携
  • 教育、医療、福祉、労働等の関係機関との連携
  • 保護者・都民の理解と協力

お問い合わせ

教育庁都立学校教育部特別支援教育課特別支援教育企画担当
電話:03-5320-6762 ファクシミリ:03-5388-1728
メール:S9000012(at)section.metro.tokyo.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの表記を一部変更しております。
お手数ですが、メール送信の際は(at)を@に置き換えてご利用ください。

ページID 381

このページの目次

PCサイト表示

表示を元に戻す

ページの終わりです
ページの先頭へ戻る


ページの
先頭へ